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2010.12.28 Tuesday

herb and drothy

松浦弥太郎
『暮しの手帖』編集長・文筆家
「ニューヨークで暮らすには、何が必要ですか?」
ある日の朗読会にて、絵本作家のジェイムズ・スティーブンソンに、こう訊いたことがあります。
すると、「ニューヨークでは、お金が絶対に必要と言う人がたくさんいるけれど、決してそうではない。この街で必要なのは、何よりも友だちを作るちから。友だちを作るちからがあれば、世界中どこに暮らしても、きっとしあわせになれるだろう」と答えてくれました。
友だちを作るちから。
『ハーブ&ドロシー』を観て、僕はこの忘れかけていた言葉を思い出しました。そう、暮らしに大切なのは、何よりも友だちを作るちからだと。
友だちを作るちからとは、よいところを見つけるちからです。ここで言う友だちとは、人だけではなく、動物や植物はもちろんのこと、道具やモノ、自然など、身の回りにあるものすべてです。
よいところを見つけたとき、人は誰でも感動をする。感動すれば、人はそれを隠すことはできません。言葉や表情、行動で、その嬉しさが湧いて出る。湧いて出るものは、言葉で表すことのできない魔法のような、まわりをしあわせにするあたたかい何か。
たとえば、人と出会ったとき、相手のよいところを見つけることができれば、よいところは自分の好きでもあるから、そんな魔法があれこれと作用して、きっとすぐに仲良くなれるでしょう。人間でも動物でも植物でも、コップでもやかんでも、シャツでも帽子でも、毎日、それらのよいところを見つけてあげれば、そのすべては自分にとってのよき友だちになるでしょう。
よいところを見つけるちからとは、ものを選ぶちからでもあります。
現代の情報化社会にて、すでに誰かが選んだもののなかから何かを選ぶのではなく、それこそ自分だけの友だちをつくるように、自分の目で、本質を見極めて、ほんとうによいものを選ぶこと。そのためには、どんなものでも食い入るように、しっかりと見ることが必要であり、よいところの最初の発見者でありたい。そうして友だちへの道はできるのです。
ハーブとドロシーの暮らしは、アーティストとその作品という、友だちとの強いきずなで作られています。
毎日のように、よいところを見つけ、選び、彼らはどんどん友だちを増やしていきます。あるときは喧嘩もするでしょうし、失敗もあるでしょう。そうやって、お互いの成長を分かち合っていく。また、友だちだからこそ、よくないところはきちんと言葉にし、よいところは褒める。あるときは欲張りにもなる。そのかわり一度友だちになったら、自分がされて嫌なことや、裏切ることは決してせず、一生、友だちでいつづける。それがほんとうの友だちです。
幼いころ、初めて子どもたちの集団のなかに入っていったとき、胸をどきどきさせながら、その誰かを選んで、お互いの心を少しずつ開きながら、友だちになっていったわくわくした気分を思い出します。僕はあの頃の友だちを作るちからという魔法を今でも忘れられません。
しあわせで豊かな暮らしとは、お金が必要なのではなく、友だちを作るちからが授けてくれるもの。
『ハーブ&ドロシー』は、ニューヨークで暮らす夫婦の、一生をかけた友だち作りの記録です。

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